ビレーヤーも努めた氷瀑製作労働者からの感想です。勘違いしていることもあるかもしれませんが、とりあえず。

    今年も藤田選手が感動を与えてくれた。激しい気合とともに新たな力を引き出し、自分の限界を次々と超えて
      いくようだ。我が家の息子7歳も「藤田さんスゴイ!スゴイ」。(去年も「カッコイイ」と飛びついていった。)

    昨年優勝の小田選手をもはねのけた予選1本目は、垂壁〜天井〜ダウンクライム〜垂壁--カタカナの「ワ」の
     内側を登って左肩が終了点と思っていただこう--高差約9m、天井奥行き5mだ。
     これをヒール爪なし横爪シャルレで制し、ロワーダウンの後、精根尽きてガックリヒザを落とす藤田選手。

    江本選手は、声援に応える余裕もあり、観客にアピールするプロらしい登り。が、1本目のあと「パンプしちゃった」と
     やや渋い顔も。

    小笠原選手は、赤岩青巌峡開拓時代から北海道の先端を行くクライマー。やはりトップクライマーの奥様も出場
      している。進学校の先生と聞くが、数式を解くようにクールに課題をこなす。

    石井選手は、始まりがかなり遅めながら、ハイレベルの現在進行形クライマー。40を過ぎて近年フリーでもめきめき
     力をつけ、5.13に手が届かんとしている。クライミングで「長身を利している」ように見えるのは実は大変なことだが、
     夕暮れの不利な条件のもと、トリをつとめるにふさわしい無駄のないクライミング。見ていただいぶ若いライバルは
       「石井さん、分かってるよなー」とつぶやく。

    予選完登は4人(藤田 江本 小笠原 石井)。
    予選はデモンストレーション付きのフラッシングだが、決勝はライバルが背後で登るのを聞きながら待つオンサイト
      形式。 観客にカブリツキで向き合い壁のほうを見てはいけないという、照れ屋さんには絶体絶命の、衆人環視型
      アイソレーション。 ルーフも、ランジの足場もどんどん崩れ、決勝は選手になんとも気の毒で割り切れない。

     決勝唯一の完登は、小田選手。
     第1課題、窮屈な体勢の氷からボード上部の打ち込みホールドにムリ目のランジが核心。
      打ち込んで保持できたのは、小田選手と藤田・三樹(4位)選手のみ。小笠原・石井選手も打ち込むことが出来
      なかった。小田選手は唯一、氷の穴(ガバ状)をアックスでなく、ハンドホールドに使い、大ランジを余裕で刺し、
      それからの2手も悠然とこなし、完登した。
     小柄な江本選手はごくわずか届かない。(ルーフの第2課題を先にしていたためかもしれない)。

     氷柱からルーフを這いまわり、垂壁ボードの限定ホールド(アンダー)を使わされるという第2課題。
      江本選手は、ルーフ横断を果たし、独り垂壁ボードにたどり着くが、惜しくもフォール。他の選手は、これに及ばない。

       以上

       ----
     余談:ボード本体は鋸くずを固めたような特殊な木板で、アックスを打ち込んで上るのは禁止だが、アイゼンは
       蹴り込んで突き刺して可。--この点の説明が不適切で予選再登となってしまった選手もいた。
      ホールドは普通の人工壁と同じモノと、木の厚板でピックを打ち込んで使うモノとがある。
       後者の打ち込みホールドが現実のアイスクライミングのどういう部分をシュミレートしているのか、理解しがたいが、
       コクサイ的に使われているらしい。

     今年も参加賞を含めた賞品はかなり豪華だったようで、うらやましかった。

     地元のイベント「氷瀑祭り」にすんなり溶け込んでいない部分も感じられ(今年も「ガケ登りの大会」という人が少なく
      ない)、どうなっていくのだろうか、今後が面白い。

     作り手らは予選落ち必至なレベルだが、アイスクライミング用に壁を作り始めて3年目、コンペ用としては2回目、
       だいぶ見えてきたものがあり、来年が、というか秋からの準備が楽しみ。

       参加者とスタッフとお読みのみなさん、お疲れ様でした。




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